国境も障害も溶け合った「熱狂の劇場」へようこそ!
GEKIJOU3開催レポート
「わっしょい!わっしょい!」
プールサイドに響き渡る地響きのような応援と、振り回されるビート板。2026年11月9日、東大阪アリーナは、単なる水泳大会を超えた「劇場(GEKIJOU)」へと変貌しました。
ここは、泳ぎの速さを競うだけの場所ではありません。障害の有無、年齢、性別、そして国籍さえもが、プールの水に溶けて消えていく場所。主催者であるパラスイマー・久保大樹が描いた「誰もが主役になれる舞台」の全貌をレポートします。

1. 196の個性が溶け合う「即席チーム」の魔法
今回のGEKIJOU3に集まったのは、下は7歳から上は72歳まで、総勢196名の「Good Swimmers」。そのうち約16%にあたる31名が、身体・知的・視覚・聴覚など、何らかの障害を持つパラスイマーたちです。さらに、留学生ボランティアを含む多国籍なメンバーが加わり、会場はさながら小さな地球儀のようでした。
参加者は当日、ランダムに6つのチームに分けられます。最初は緊張気味だった初対面同士が、競技が進むにつれて一つの「家族」のように結束していく姿が印象的でした。

「初めて会う人ばかりだったのに、気づけば全員が一つになって叫んでいた。あんなに必死に誰かを応援したのはいつ振りだろう」(30代・男性)
2. 「違い」を知り、「壁」が壊れるユニーク競技
GEKIJOUの競技は、どれも一筋縄ではいきません。特に象徴的だったのが「インクルーシブリレー」です。
視覚障害を疑似体験する「ブラックゴーグル」をバトン代わりに繋ぐこの競技では、健常のスイマーも暗闇の恐怖と戦いながら泳ぎます。

「暗闇で泳ぐ怖さを知ったことで、パラスイマーの凄さが身に染みた。配慮というレベルではなく、
自然に『道を開けよう』『サポートしよう』と思えるようになった」(20代・女性)
また、泳ぎが苦手な子もチームの得点に貢献できる「クロスワードパズル」や、目標タイムとの誤差を競う「ドンピシャリレー」など、誰もが「自分が必要とされている」と実感できる仕組みが随所に散りばめられていました。
3. 障害という言葉が消えた「胸熱」の瞬間
アンケートで最も多く寄せられたのは、競技の結果以上に「心の交流」への感動でした。
ダンスで繋がる心:
障害のある子が一生懸命踊るダンスに、中学生の男子たちが照れながらも加わり、最後はチーム全員で踊った。あの光景は一生忘れない
「かっこいい!」というリスペクト:
20秒台で泳ぐパラスイマーの圧倒的な速さに驚き、70代のスイマーのガッツに勇気をもらう。「助ける対象」ではなく、純粋に「憧れの存在」として同じプールに並んでいました。

キッズの挑戦:
25mを必死に泳ぎきった子供の姿に、チームの垣根を越えてプールサイド全員が涙を流して喜ぶ場面もありました。

4. 「不完全な俺ら」だからできること
この大会のエンジンは、主催者・久保大樹の不屈の精神です。
パラリンピック内定取り消しという絶望的な挫折を経験した彼は、だからこそ「不完全であること」の価値を知っています。
「俺は一人じゃ何もできない。だからみんなの手を借りる。不完全な俺らでも、これだけのことはできるんだ」
その想いに共鳴した「地元のツレ」や仲間たちが運営を支え、51口もの自発的な「応援金」が寄せられました。GEKIJOUは、久保氏一人ではなく、彼を支えたいと願うすべての人たちの手で作られた「劇場」なのです。

5. 来年、あなたもこの「劇場」の主役に
アンケートの結果、97%以上の参加者が「共生社会の実現にGEKIJOUが必要だ」と回答しました。そして、参加者全員が「来年もGEKIJOUします!」と力強く宣言しています。
GEKIJOUは、ただのイベントではありません。 「友達になれば、壁はなくなる」 そのシンプルな真理を証明し続ける場所です。来年、あなたもこの熱狂の一部になってみませんか?泳いでも、応援しても、支えてもいい。国籍も、障害も、昨日までの自分も。すべてを溶かして、新しい景色を一緒に見に行きましょう。


